“n” ensemble orb sound works 999-001
1997年より、映像作家・中村順基とともに活動をスタートさせた、映像と音楽によるコラボレーション・ユニット=”n” ensemble orb(エヌ・アンサンブル・オーブ)。 2002年「フィリップモリス・アートアワード」に入選。同年12月には、パリの文化地区、サンジェルマン・デ・プレで催されたアートフェスティバル=TOKYO ZONEに召還され、作品上映を果たし、以降、活動休止に入る。 当時の川瀬浩介は、轟音を放つノイズを中心に音楽を構成していたが、ある音楽家には「これは歪んだアンビエントだ」と評されるほど、表面的な印象とは対照的な音響的/心理的効果をもたらすケースも見受けられた。 これは、「ノイズ=雑音」という先入観を超えて、メロディやハーモニーといった感情に訴える表現を排除しながらも、いかに叙情的な音楽表現ができるかに挑戦していた時代の記録──。
このあと川瀬は、音と光をテーマにソロ活動を展開。デビュー作《Long Autumn Sweet Thing》(2002-2003)のプロトタイプを第3回SICF(Spiral Independent Creators Festival)にて発表し、グランプリを獲得。2002年秋、美術家としてのデビューを飾った。